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復興にかける三宅島〜みやけエコネット・プロジェクト〜
みやけエコネット・プロジェクト
緑豊かな照葉樹林、どこからか聞こえてくる野鳥たちのさえずり、黒潮によって育まれた色とりどりの海水魚、随所に見られる火山地形、潮騒と満天の星…。都会の喧騒を忘れさせてくれる三宅島は東京から南へ約180キロの太平洋の真っ只中に浮かぶ見事なまでの大自然の恵みに満ちた島。記憶に新しい2000年の噴火災害から約5年たち、まだまだ大きな傷跡を残しつつも自然は強く、着実に回復に向かっています。また、人々の暮らしの息吹も聞こえるようになりました。そんな三宅島の再生と復興をネット上で支援しようという試みが三宅島や野鳥の会をはじめとした関連団体の協力で始められた「みやけエコネット」です。
再生と復興
自然ねっと
「みやけエコネット」開設のいきさつを教えてください。
山本さん
三宅島は本当に自然環境の豊かな島です。2000年の三宅島の中央部にある活火山・雄山の火山活動とガスの発生で島民は避難を余儀なくされ、また豊かな緑も減少し、野鳥達も数を減らしていましたが現在では徐々に回復に向かい以前の姿を取り戻しつつあります。「みやけエコネット・プロジェクト」は三宅島の豊かな自然を多くの方に知っていただき、体験・共有してもらいたいと考え、日本野鳥の会を中心に後援に三宅村、協賛/システム提供にNTTデータと産官民一体で取り組んでいるプロジェクトです。三宅島の自然の変遷の様子やそこにすむ人々、島を訪れた方からの声にぜひ触れ、また、みずから情報発信していって欲しいと思います。 FoE JAPAN 和田さん
自然ねっと
「みやけエコネット」ではどのようなことが出来るんですか
山本さん
  「みやけエコネット」は、島民や自然観察などで訪れた方々が観察した三宅島の自然の様子を、写真や動画を交えながら情報発信、共有していくサイトです。私たちレンジャーをはじめ、学校の先生や生徒達、ダイビングショップ、島民が現在活躍の主体となっていますが、多くの人に島を訪れてもらって、より充実したサイトにしていければと思っています。日付を基本とする日記形式のブログに加え、地図上のエリアに該当する情報を書き込み、発信し、検索も可能です。三宅島の最新情報が生の声で発信されていますから、観光やエコツアーなどで三宅島に訪れる方・ダイビングや釣りなどマリンレジャーの情報を知りたい方・野鳥などの現状に興味がある方などが三宅島の地図から簡単に情報を検索、入手することができます。また、島のさまざまな情報がどんどん蓄積されることでデータベースとしての役割も果たすことが出来ますし、島の変遷や歴史が蓄積されていくことになります。例えば島の中央にある火山雄山周辺の照葉樹林の回復やアカコッコなど日本固有の野鳥の繁殖、海水魚やサンゴ・・・といった復興していく過程がよりリアルな形で残せると考えているんです。
 
FoE JAPAN 和田さん
自然ねっと
山本さんは日本野鳥の会のメンバーとして「みやけエコネット・プロジェクト」の拠点でもある三宅島自然ふれあいセンター アカコッコ館に勤務されているんですよね。
山本さん
 
アカコッコ館は、三宅村が1993年に設立した日本有数の野鳥の楽園として知られる大路池のそばにあるバードアイランドです。おおの自然観察の森レンジャーを経て、1993年のオープンよりレンジャーとして勤務しています。噴火以来避難休館していましたが、7月に再開しました。ここを拠点に現地での活動を行ない、また「みやけエコネット」のウェブマスターとしてさまざまな三宅島を発信していこうと思っています。レンジャーの役割は、自然のすばらしさや不思議さを多くの人に知ってもらい、その大切さに気づいてもらうことです。三宅島の自然のことで何かわからないことがあったら、気軽に私たちに尋ねてくれればと思います。 FoE JAPAN 和田さん
自然ねっと
最後に今後の展開をお聞かせください。
山本さん
  2000年の噴火前後の自然の変遷の記録や旬の自然情報の発信はもちろん、三宅島の自然のことを広く伝え、見せていける地元ガイドの養成にも力を入れていこうと考えています。再生へと向かう力強い三宅島の自然を、みんなに伝え共有していきたいですね。三宅島の自然と向き合うことで新鮮な感動や発見をしてもらえればと思います。「みやけエコネット」は見るだけでも十分に楽しめるように努力していきますが、興味をもたれたらぜひ三宅島を訪ねて欲しいですね。
 
FoE JAPAN 和田さん
自然ねっと
ありがとうございました。
編 集 後 記
山本さんは「自然が、鳥が戻ってきている」と自然の力強さを本当にうれしそうに教えてくれた。僕が感じたのは自然のすばらしさや力強さと共に人のたくましさとやさしさだ。三宅島の復興にかける想いが静かで穏やかな口調からひしひしと伝わってきた。自然は僕らを楽しませてくれるやさしいものだと思いがちで厳しさに接すると憤慨する。しかしその厳しさを目の当たりにしてなおかつ自然のやさしさや美しさをわかることが出来たらより自然への共感は膨らむに違いない。自然はやさしい。人もやさしいと心から思える取材だった。


みやけエコネット
2005年7月にオープンした島民や自然観察などで訪れた人が観察した三宅島の自然の様子を、写真や動画を交えながら情報発信、共有していくサイト
http://www.miyake-eco.net/weblog/PortalServlet

三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館
三宅島の特色ある自然をより多くの人に知ってもらうために設立された、三宅村営の自然観察施設。(財)日本野鳥の会のレンジャーが常駐し、三宅島の自然情報の提供や自然を知り、親しむための自然観察会の開催、三宅島で見られる野鳥や植物・海の生きものを紹介する展示・調査・研究などの活動を行っています。
http://www.wbsj.org/sanctuary/132/index.html

財団法人日本野鳥の会
野鳥の保護を通じて、自然と人間が共存する豊かな社会の実現を目指す団体。三宅島自然ふれあいセンター・アカコッコ館に2名のレンジャーが常駐しています。
http://www.wbsj.org/
2005年8月取材
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