スノーシューという言葉を初めて耳にしたのは10年、いやそれ以上前のことになるだろうか。雪山登山のアプローチとして和かんじきと共に使われていたのは知っていたが、まさかこれほどまでのブームになるとは思ってもみなかった。このブームの背景には、すでにブームである欧米のデザインや実用性に優れたスノーシューが数多く店頭に並んだことや、老若男女誰でも楽しめる気軽さなどがあるのだろう。その証拠に実際に売り場に行ってみると、簡単なハイキングで使うようなものから本格的な登山にも耐えられるようなアイゼン*付のものまで目的別のスノーシューが揃えられているだけでなく、サイズも子供用から大人用まで体重に応じて3種類ほど用意されていた。和かんじきには無いバリエーションだ。 |
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雪原散策やハイキングで使えるような初心者用のスノーシューを購入し、さっそく深雪を探し求めてフィールドに出てみた。今回のフィールドは、長野県にある北八ヶ岳エリア。関東近郊のバックカントリー*エリアとしてはあまりにも有名なフィールドと言ってもいい場所だ。スノーシューを装着し、まだ誰も踏みしめていない新雪の中をおそるおそる一歩ずつ歩いてみる。すると、何も付けていなければ太股まで片足丸ごと潜ってしまうような場所でも、忍者の水雲のようにスムーズに歩くことができた。多少の沈みはあるものの、これであればほとんどの雪面で威力を発揮しそうだ。 |
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ただ、新雪の急な雪面には苦労した。これは登り方などのテクニックも必要なのだろうが、新雪であるためつま先のツメがうまくグリップしてくれないのだ。そういった所では、雪をキッチリ踏み固めて乗り越えたのだが、アイゼンが付いた登山用のスノーシューであればクリアできるのだろうか? |
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前日の悪天候が嘘のように晴れ上がったフィールドは、降り積もった雪のせいか、じっとしていると無音の静けさの中に包まれる。ランチタイムにコーヒーを沸かしてゆっくりとたたずめば、これ以上の贅沢はないと言ってもいい。そんな事ができるのもスノーシューだからこそなのである。 |
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スノーシューは、雪面を沈まずに移動できる西洋かんじきのようなもので、その歴史は100年をゆうに越えるという。ハンティングやレース、ハイキング、登山など用途は様々だ。
1990年代後半から現在のようなブームが訪れ、最近ではバックカントリースキーやスノーボードを楽しむための移動用の道具としての人気が高い。 |
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XCスキーと同様、無雪期には行けないような所でも自由に行動できるので楽しいが、裏を返せば、それだけ危険がつきまとうことになる。バックカントリーの初心者はまず決められたコースを散策する方が望ましい。北八ヶ岳など有名なバックカントリーエリアであればたいがいコースマップが用意されているので、山小屋やペンションで入手するとよい。スノーシューやXCスキーのレンタルを行っているところもあるので、現地の状況などと合わせて事前に問い合わせてみることをお勧めする。最近では、登山メーカーやショップなどが企画するスノーシューツアーも多いので、参加してみるのもいいだろう。 |
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山小屋やペンションでレンタルするのもいいが、トレッキングなど本格的に始めたいのであれば購入したほうがよい。登山用品を扱うショップなどで手に入る。価格は1万5千円から4万円程度のものまで様々なので、わからない場合は店員に使用目的を伝えた上でお勧めのモノを選んでもらうとよい。選ぶ際に必要なのは、使用目的と荷物を含めた体重。アップダウンの激しい登山目的と雪原などのハイキング目的とでは種類が違うので特に注意が必要だ。また、快適に歩くためにストックの購入も考えたい。 |
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2003年取材 |